どこまでをデザインするか―デザインは文化のバロメーター―
「売れるためのデザイン」は、当然、デザインに求められていることなのだろうが、売れた後のことも、デザインの視野に入れないといけないのではないだろうか。
原子力発電所は、売りっぱなしのデザインと言えるのではないか。その後のことまでデザインしないと、売ってはいけないのではないか。
シンガポールでは、街路にゴミを捨てると多額の罰金が課せられる。それほどマナーの悪い街ともとれるし、そんなルールが容認されるほど、マナー意識の高い街だともとれる。ルールとマナーの関係は、比例か、反比例か？
マナーが良ければ、ルールは要らない。ルールがあれば、マナーを取り締まれる（言語矛盾？）ものでもない。マナーは、文化そのものである。
文化は、デザインに表れる。デザインは、文化を表現している。
建築は色や形をきめることではなく、環境をつくることだということと同じように、デザインの対象は物ではなくて、社会の中での在り方である。
生産されて、消費しきられるまでのサイクルを、対象としなければ、ならないのではないか。
そのようなデザインが、当然となっている社会では、ルールよりも、マナーが優先されている文化社会となっているということでは、ないだろうか。