開かれた建築

RCC文化センターの通り抜け計画で、建築文化賞大賞を頂いた。
ビルの一部を開放し、通り抜け可能として、河土手を利用しやすくした計画である。

受賞の言葉をということで、わたしの昔の体験を話させてもらった。

私が広島で事務所を始めた頃、平和大通りに全日空ホテルができた。
それを報じるテレビ番組で、コメンテイターとして建築家の河内義就氏がアナウンサーの問いに答えて、こう語っていた。
「全日空さんは随分得しましたね。ホテル前面を庭とすることで、平和大通りと緑がつながり、通り全部を庭にした事になったものね。更に奥にも庭を設けているから広大な庭のなかに建っているようなものだもんね。」

自分が設計したのでもない建物を、解りやすく愛情を込めて語るその口調にいたく感心した。
「建築家はそのように建物を見るのですね。」と、アナウンサーも感心した様子であった。

事務所を設立した頃でもあり、このような建築をつくりたいものだ、建築をこのように語りたいものだと思ったことを覚えている。
この度の受賞で、昔思っていた事が少しかなっているのに気がついた。

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