都市と建築

「国際建築 」 「近代建築 」 が廃刊になり、「a+u 建築と都市 」 「プロセス」 が生まれ、「都市住宅 」 が全盛。
東大都市工学部が学園紛争の先頭を走って迎えた学生時代。
その学生時代の終わり、就職の頃、時代は 「都市」 の時代であったように思う。

設計が好きでもなく得意でもない私は、建築ではなく地域計画の研究室に進み、卒論は 「住み替え」をテーマに、修論は 「住宅地における道空間」 をテーマに選んだ。
単体としての建築よりは、それをとりまく環境や社会に興味があった。

それでも、建築をあきらめきれない気分の時に一つの建築写真に出会った。
高層ビル-低層部は広く広がり、1階はピロティで広く都市に開放されている。
どうってことない普通のビルだっただけに、このような建築のあり方を提案するような形であれば、私にも建築をやれるかも知れないと密かに思った。

二兎を追う気分で、都市計画にも建築にも行けるスタンスを取りながら社会に出た。
コウモリのような多少うしろめたい気分があったような気もするが、今思えばその迷いこそが、事の本質だったのではないかという気がする。

建築と都市は、どちらかという選択の対象ではなく、常に一体の関係、事の表と裏、又は同一のものを語る2つの言葉ではないか。
大学を卒業して30年、最近はそのように考えるようになった。

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