メゾンフェニックスⅢ

メゾンフェニックス3 西面外観カラフルなロールスクリーンが降りている状態

街を明るくする白い箱

JR呉駅の近く、大きなホテルの裏側に建つ集合住宅である。
大きな建築物の裏にあり、通りは薄暗い印象になりがちな場所である。
この建物が建つことによって、明るい印象の景観となることを期待した。
印象の強い建物とするため、3方向から眺められる「真っ白い箱」の外観とした。

集合住宅であるが、生活感が強く出がちなバルコニー・階段による外観を避け、階を感じさせないようにするため、白い箱に正方形の窓を外壁にランダムに配している。
正方形の窓には赤、青、黄、緑、紫の5色のカラフルなスクリーンをやはりランダムに配し、建物全体を一つのオブジェのような表現としている。

各階には2つ居室が用意されている。L型のワンルーム平面で、床の段差によってリビングとダイニングとベッドルームの部分にゆるやかに区切られている。
いろいろな位置と高さに設けられた開口からいろいろな景色や光が入ってくる。
スクリーンを下ろせば3色のカラフルな光が入り、幻想的な空間となる。

メゾンフェニックスⅠ、Ⅱ、Ⅲは、同じ建築主から依頼された広島県呉市にあるワンルームマンションである。
街づくりに寄与するものであってほしい、という施主の思いで、呉市の角地や駅前に土地を求められて、設計を依頼された。
それぞれ1996 年、2005 年、2018 年に竣工しており、その都度、前回よりも良い物をと期待され、街をつくる遺伝子をもつ建築の実験とも言える連作となっている。

多くのワンルームマンションは、様々な制約によって、どれも画一的なつくりとなっている。
そうした状況の中で、我々が一番残念に思っている事は、各室と街とを介するバルコニーが物干し場、エアコン室外機置き場となり、互いに繋がっていないこと。
また、街の景観となる建物外観は、バルコニーのデザインだけに頼っていること等だ。
メゾンフェニックスでは、各住戸が直接、街につながること、各住戸の表現が全体として街への景観となることを目指している。

2018.03
広島県呉市
RC造 地上5階建て 480㎡

関連プロジェクト
メゾンフェニックスⅠ
メゾンフェニックスⅡ

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