丹那の家

東側外観見上げ

27個のボイドが構成する住宅

敷地は、傾斜地に切り開かれた、高台の住宅地の一角にあり、東と北の2方向に開かれている。

若い夫婦と小さな子供たちという、5人家族の住まいである。将来、母親との同居も想定されるため、今後の急速な生活スタイルの変化が予想される。

依頼主の要望は「実質本意の家」であった。
それに対して構造と生活空間を合理的に合致させることで、要望に応えた。

構造は、木造の3階建てで、スパン2,400mm、階高2,400mmの立体格子によって、全体が構成されている。7,200mm角の立方体の中に、合計27個のボイドが用意され、生活に必要とされている箇所には床が設けられて、「住宅」を構成している。

平面中央の階段と3層の吹抜けに面して、居室となる各スペースは配され、カラフルな建具の開閉によって、独立性と全体性が、獲得されている。

1階のリビング・ダイニング部分は、東と北の2方向に向けて広く開放し、その他の部分は比較的大きな壁で囲われている。2,400mmという小さなモジュールと相まって、3層の住まいにもかかわらず、全体は非常に親密なひとつの空間となっている。

単純な構成にすることによって、逆に多様な生活パターン、多様な生活体験が得られることを期待してつくられた住まいである。

住宅特集1996年4月号掲載より

1995.01.
広島県広島市
木造 地上3階建て 128㎡

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