政畝の家

南側外観全景

ストライプ状の空間構成によるフレキシブルな住宅

計画地は、広島県呉市のベッドタウンの中に位置する、正方形に近い約90坪の敷地である。長男の結婚を機会に、2世帯住宅への建て替えが計画された。南東に面した好条件の敷地であり、将来の家族変化にも対応でき、庭と一体化した生活の場を提案したいと思った。

ここではまず、敷地全体を道路と平行したストライプ状の空間にゾーニングした。道路側は、3台の駐車スペースと屋根のある外部空間。その奥は芝生と樹の庭のスペース。その次は居住スペースである。その中はさらに、縁側、居室、廊下のストライプが意識されており、一番奥は水回り等のサービススペースとなっている。このような構成をとることで、水回りの壁から道路際の塀までが連続する、広々とした空間をつくっている。

建物内部については、将来に向けて、フレキシブルな空間が必要とされた。現在は、大学生の次男がおり、長男夫婦の家族構成も未定である。そこで、居室とふたつの階段を、庭に向けて並列させることによって、2世帯の家族構成の変化に伴う、さまざまな住み分け方を可能にしている。

居室と庭を連続させるためと、内部に固定的な仕切り壁を設けないようにするために、構造は、鉄筋コンクリートと大断面集成材を使用している。鉄筋コンクリートでつくられた階段室に、水平力を負担させることにより、南面は筋交いなしで開口を連続させている。また、ふたつの階段室の間に集成材を架けることで、固定的な壁や柱のないフレキシブルな空間を確保している。構造であるコンクリート、集成材、またラワンベニヤの赤い壁、外部のコンクリートブロック等の素朴で力強い素材によって、ストライプの単純な構成は、のびのびとした生活空間をつくっている。

住宅特集2000年8月号掲載より

2000.04.
広島県呉市
木造+RC造 地上2階建て 198㎡

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