老朽化した賃貸住居があります。
賃貸住居の在り方、1階の閉鎖されたスペースの在り方を考慮し、このような建物が、街や住まい方を豊かにしていく方法を探ります。
同様の建物に刺激を与え、街の活性化につながる契機となる提案です。
A 閉ざされたシャッターを開け、屋根のある公園を街に開放させ、街を美しく楽しくするための提案
地方都市は、市街地過疎化の波をもろに受けています。
老朽化建物の解体による空き地の増加、 シャッター通り と言われる空き店舗の増加によって、街の楽しさは失われつつあります。
「 空き地 は、コインパーキング」「 空き家 は、コインランドリー」という現状は、生活の利便性は向上するものの、街の景観に寄与するものではありません。
閉ざされたシャッターの店舗は、昼も夜も、 街を殺風景 にしています。
空き店舗の存在が 逆に街を美しく楽しくする 可能性が求められています。
用途的にも景観的にも貢献していない空き店舗の シャッターを上げ、人が集い、街の景観に貢献 する場所づくりを行います。
空き店舗の今後の可能性を探っていく契機とします。
プロジェクト(実施案)
1階は駐車スペース、2、3階には6戸の賃貸住居があります。
この特殊条件を活かしながら、1階を街に開き、景観に貢献する場とするプロジェクトです。
1階は、上階の入居者のための 充実したエントランスロビー とし、その場を街にもオープンにし、近隣住民も利用可能な場とします。
緑 があり、 休息の場 があり、 アート があり、夜は ライトアップ をします。
自販機は道行く人達も利用 できます。
エントランスロビーの延長に、入居者達が 共同利用 できる多目的な広々としたスペースを設けます。
この場所は、有料または無料で近隣住民も利用でき、入居者と近隣住民たちの様々な発表の場、出入り自由な ギャラリー ともなります。
1階スペース全体は緑化も含めて、 DIY的手法 でつくります。
くつろぎスペースには、DIYに関連する書籍も常備し、 読書スペース ともなります。
B 老朽化、画一化、孤立化した賃貸住居を、多様で進化し続ける共同住宅に変貌させる提案
市街地賃貸住居は、 画一的な間取り と外観で街を退屈にしているように思えます。
一方、古い賃貸住宅は、間取りに現代の生活様式とのずれが生じ、住みにくい住居となりました。
空室が空室を呼び、 幽霊ビル と化しつつあり、都市の美観、安全上の問題となってきています。
現代の都市生活者は 生活様式が多様化 しているにもかかわらず、賃貸住居は入居者が特定できないため、画一的なものとなっています。
様々な生活スタイルに 対応できる賃貸住居 の供給が期待されます。
あるものから選ぶしか方法のない現在の賃貸住居の形式に対し、自分の要望に沿った形で住まいを カスタマイズ できる形式の 賃貸住居 の分野を作ります。
さらに共同住宅の共同空間に対しても入居者参加の形式を作り、入居後の建物への所属意識を高めていきます。
プロジェクト(実施案)
2、3階の6戸の住居の内部を解体して スケルトン とし、 最低限の水廻り (キッチン、トイレ、シャワールーム)をコアとして集中させ、その他は入居者の自由な空間構成に任せます。
退去時に、原則現状復旧を要求しないこととし、入居者の自由度を高めます。
また、廊下、階段の 共用部の緑化 を行い、入居者の管理とします。