西条土与丸の家

北東面全景

周辺環境によってつくられた家

おばあちゃんが一人で安心して住め、近くの息子さんが畑仕事を兼ねて立ち寄り、遠方のお嬢さんが週末を過ごす。集まった親戚が気軽に宿泊していくなど、さまざまな用途を想定された家。

また、近くを通る鉄道、高架道路の音を気にせず過ごせるようにすること、もともと畑だったので、畑スペースを残すことと、農作業をするスペース(収穫物を洗ったり、保管する)を設けることなども条件だった。

施主の希望や敷地条件をあますところなく汲み取ることによって出来上がる新鮮な建築を目指した。結果、六角形の木の空間を、異形の金属の外皮が包み込むというダブルスキンの構成となった。高齢者が住むこともあり、短い動線でコンパクトに生活できる一方で、広々、のびのびとした空間体験のできる家となるよう工夫している。六角形の平面で寄せ棟としているため、平面、断面ともに三角形の組み合わせとなっており、どの方向に向けても耐震性が高い。

六角形とすることで、コンパクトでスムーズな動線が得られた。一方で、浴室・キッチン・ベッドなど四角い家具などが無理なくおさまり、生まれる余白のスペースが気持ち良い効果を生むよう緻密な設計を行った。小さなスペースなので、少しのことが大きく影響する。細やかな造りこみをするべきところと、おおらかな空間にするところを意識して設計した。

テラスは基礎のコンクリートそのままを洗い出して土間としている。トップライトを設け、リビングに光を取り込む。屋内と屋外をつなぎ、敷地全体の生活の中心となっている。

周辺環境や、与条件に、純粋に立ち向かった結果として生み出される新鮮な住まいとなった。

2013.11
広島県東広島市
木造 地上2階建て 146㎡

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