街→中庭→階段→テラス→リビング→寝室と、「パブリックからプライベート」への空間の流れを整理しなおした集合住宅
集合住宅の一般的な構成は、共用の廊下から、鉄扉を開いて住戸に入り、奥にリビングがあって、バルコニーに続く。唯一の外部空間である、バルコニーは、エアコン屋外機置場であったり、物干場であったりする。プライバシーの確保が要求される個室は、廊下のすぐそばだったりしている。
建築家として、このことに、何とか抵抗してみたいと思った。
私が、子供の頃の民家は、道路から庭に入り、縁側で友達と遊んだりした。奥からお母さんが、スイカを持って来てくれたりした。このような街と住戸の関係を立体化した集合住宅を実現したいと思った。
ブリーズコート中野は、3層8軒の集合住宅である。コの字型に囲われた共用コートは、西側の街路や公園に開かれている。共用コートには、3つの屋外階段があり、各戸につながっている。木製の扉を開くと、エントランスコートがあり、共用コートや公園に開かれている。エントランスコートは、リビングと連続しており、奥に個室が配されている。個室⇒リビング⇒エントランスコート⇒共用コート⇒街路とつながる構成が、伸び伸びとした生活のリズムを生むのではないかと期待している。
2003.03
広島県広島市
RC造 地上3階建て 740㎡