「建築は関係性である」―場所・内部空間・外部空間の関係性の分析―

ここに掲載した文章は数人会’96―関係性―に向けて執筆した文章です。


■建築―関係性について

建築はある「場所」に建つ。
そこで建築は「外部」に対し開き、又は閉じる。
「内部」の空間は相互に連続し、又は分断される。
建築は構築物として現出するが、それは空間の在り様を表現する器として表現される。ある空間をその他の空間とどのような関係に構成するかを考えていくことで、概念は建築へと結実していく。
ここでは建築における関係性を次の項目に絞り、分析を試みている。

1.場所と建築の関係性
2.外部空間と内部空間の関係性
3.内部空間相互の関係性


1.場所と建築の関係性

建築はある「場所」に固定されて実現する。
このことは、建築という芸術が他の芸術と異なる特殊性である。
「場所」をどのように認識するかが、建築の在り方を大きく決定づける。更にその場所に対し、建築をどういう関係に設定するかで、建築の全体像は決定される。

2.外部空間と内部空間の関係性

建築は巨大な立体であるが、巨大な彫刻と建築の差は何かという質問に対し、フランク・ゲーリーは、「彫刻には窓がない、そして、建築には窓がある」と答えている。窓の存在によって、建築は内部と外部の両方の空間を獲得する。
建築は、無限に連続する空間から「内部」を切り取る作業に他ならない。その時、同時に「外部」を造り出す。
「外部」をどう認識し「内部」をどう関係させるかが建築の基本を構成する。

3.内部空間相互の関係性

建築という芸術の特殊性として「体験的空間」であること、「機能を持つ」ことが挙げられる。
行為→機能→室名という流れのなかで、体験的空間性は消去されていく。内部の空間相互をどのように関係づけて全体を構成させていくかが全体を機能させることであり、体験の場をつくることであろう。

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